〇〇、どうした?ぼうっとして。
炭治郎の声に肩を揺らす。
貴重な時間を私に割いてもらっていながら……貴重な時間?
俺と甘味処へ行くんだろう?ほら、早く行こう。
出された掌は怪我やマメ一つない綺麗なもの。
(毎日鍛錬に励んでいた炭治郎の手じゃない!)
それでは彼は誰だ?そもそもこの空間は何だ?
少なくとも私が居るべき空間ではないと、傍らに顕現した日輪刀を掴むと赫灼の瞳が揺れる。
鬼が居ない世界だったら、炭治郎は家族と幸せな暮らしを送っていたんだろうな。──そして私とは会うことは、きっとなかった。
(さようなら炭治郎。私は行くね)
貴方を──大切な人を守りたいから。
心の臓に刀を突きつける瞬間に見た炭治郎は悲しげな顔で、いってらっしゃい。と述べて笑った。
魘夢