(こら累!またお姉ちゃんに八つ当たりしたでしょう!)

(〇〇に告げ口をしたのか。姉さんも懲りないな)

〇〇の背中に引っ付き、怯え顔をしている姉に冷ややかな目を向けた累は、何処吹く風。
深い溜め息をついた〇〇は持っていた手拭いで裂けた頬から生じている血を拭うと、赤く汚れた着物を替えるべく累に背を向けた。

……ごめん〇〇。
〇〇にそんな顔をさせた事は謝るから、許してほしい。


背中に顔を埋め、腹部に腕を回す。
今回だけだからね、と幾分も吐き出した言葉と共に〇〇は累の頭を撫でた。

(いくら何でも絆され過ぎじゃないかな。……まあいいけど)

いくら鬼だからって女の子の、それも顔を傷つけたりしちゃ駄目でしょう?
鬼嫁化する