四肢こそ欠損してはいないが、この鬼の攻撃は苛烈すぎる!
防戦一方で息も絶え絶えな私に対し、十二鬼月────恐らく上弦の鬼は切断された指を即座に再生させると間合いを置いて語りかけてきた。
名無しの鬼狩り、お前も鬼になろう!
(鬼の思考ってどうして常軌を逸してるんでしょうね!)
一瞬の隙を狙って正確無比に振り下ろされる拳を避ける。
皮膚が裂ける音が体力の上限を知らせていて、滲む血を拭って鬼を見据える。
女の鬼狩りで日の出まで俺と戦っていた奴は初めてだ!
次に会った時、答えを聞こう!!
背中に刺さる陽光と周囲に散っている己の血液。
上弦の鬼が消えたのを呆然と見つめる。
(何が嬉しくて、鬼に好かれないといけないんだ……)
へたりこんだ私を陽の光が優しく照らしていた。
鬼勧誘