意識と、足取りが定まらない。
ぽたり、ぽたりと涙を流す
炭治郎を前に、本能が露出する。
一刻も早く、肉を喰らいたい。
重い体を引きずり、
獲物に飛びかかる。
(貴方には笑顔が一番似合う。だから泣かないで)歯を噛み締めた
たんじろうは、全く反撃して来ない。
(これ以上、炭治郎を苦しめる訳にはいかない)おかしいなぁ、哀しくもないのに目の奥から水が溢れてくる。
早く食べたい、だけど彼は
食べたくない。
力を緩めれば男の子の暖かい手が背中に伸ばされ、嗚咽混じりで何度も同じ言葉を繰り返している。
それが何を意味するか、私は永劫に分からないまま終わるのだろう。
──もう間もなく、
夜が明ける。