(義勇さん、遅くなりました)

待ち合わせの時刻ではまだないだろう。
……白粉と紅を差したのか。


じぃっと見つめてくる義勇の視線から逃れようと両の手で顔を隠そうとすると、手首を掴まれた。

誰も変などと言っていない。その着物も似合っている。
慣れない格好で歩きにくいだろう、俺に掴まっていろ。


自然な流れで義勇の腕を掴まされ街中を歩く間、心臓は早鐘を打ち続けていた。
逢い引き……?