すみませんしのぶさん。〇〇が生きて帰ってきてくれた事を喜ぶべきなのに俺……!
まさか忘れ去られる事がこれ程悲しいとは微塵にも思っていなくて……。炭治郎君の気持ちはよく分かります、大丈夫ですよ。
〇〇さんの記憶は時間の経過と共に必ず戻ります。どれだけ時間がかかるか分からないですが……。入隊してからの記憶がなくて、一番大変なのは〇〇自身だと思います。
記憶が戻っても戻らなくとも、俺は〇〇の傍に居ます。いいや、居させて下さい。相打ち覚悟で鬼を倒した〇〇が生きているだけで目出度いのだ。
目を細め、柔らかい声で名前を呼んでくれる〇〇が暫く見られないだけ。
そんな単純な事がとてつもなく、辛くて悲しくて炭治郎は椅子に座ったまま啜り泣いた。
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