日輪刀の柄に置かれていた手が、ゆっくり降ろされる。
どうして、と吐き出した声は驚く程に弱弱しく小さなものだった。
他にも俺に伝えてない事があるんじゃないのか?炭治郎の鼻が私の匂いを嗅ぎ分けたのだろう。
片膝をついて肩を叩く炭治郎に任務の仔細からこの森に逃げ込んでからまでの事を、ゆっくり伝える。
その鬼に人を食べさせられてからは、どうだ?
人を食べたいと思ったことは?首を勢いよく横に振ると炭治郎は私の手を引いて歩き始めた。
禰豆子のように〇〇も普通の鬼と何処か異なるのかもしれない。
帰ってしのぶさんに話を聞いてもらおう。(鬼殺隊の誰かに襲いかかるかもしれないよ?)
その時は俺が責任を取る、何も心配しなくていい。もう炭治郎とは会えないと、そう思っていた。
当たり前と思っていた確かな温もりにまたじわりと視界が涙で滲んだ。
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