乾いた音が周囲に響く。
張られてヒリヒリと痛む頬に手を添えながら顔を上げるといつも以上に無の表情をした義勇さんがそこに居た。

お前が何を思いその言葉を口にしたか、知りたいとも思わない。
……深手を負った事に負い目を感じているのなら何故もっと強くあろうとしない。
何故何かをする前から諦め、頭を垂れる。

諦めるのは一瞬で出来る。
軽々しく"見捨てて"など口にするな。


有無を言わさず私を抱えた義勇さんの顔は見えない。
そのまま蝶屋敷へ連れて行かれて暫く療養する事になったが、療養期間一度も義勇さんは私の前に姿を見せなかった。
見捨てて