……そういう意図で渡したのではないんだが。

掛けた義勇の羽織を抱きしめ、静かに寝入っている〇〇の肩にそっと布団を掛ける。
男女の仲ならば、遠慮する事もなく彼女の乱れた寝間着を正せるのだがそういうわけにもいかない。

妙な気を起こす前に部屋から立ち去ろうと腰を上げた義勇を寝起きの芯のない声が呼び止める。

(ぎゆーさん、はおりはいいんですか?)

明日の朝で構わない。今はゆっくり休め

(はぁい)

──そんな強く抱き締めずとも、誰も取り上げたりなどしないのにと薄らと笑いながら今度こそ義勇は彼女の部屋を後にした。
羽織を抱き締めて寝る