先程まで私の上に居たそれは一瞬の間に絶命していた。何がなんだか分からない。
突如現れた男性は静かに鮮血が付着したそれを払って鞘に収めると静かに口を開いた。

「お前の両親は無事だ」
もたらされた言葉に体から力が抜ける。

「娘が我々を逃がすために鬼を連れて山の方へ逃げたと聞いた」
『鬼』と呼ばれた存在はもうそこから消え失せていた。

「俺は──」

義勇邂逅4