気配を消しきれていなかったか。
眠っているようだったから一目見て立ち去るつもりだった。


(汗で張り付いた前髪をそっと払われたので、咄嗟にお詫びを入れたつもりがカラカラに乾いた喉が上下しただけで終わった)

水なら此処にある。起き上がれるか?

背中を支えてもらいながら体を起こし、水を飲ませてもらう。
ふう、と息を吐いて今度こそ自身の気持ちを伝える。

(ありがとうございます、義勇さん)

この程度の事気にするな。申し訳ないと思うなら、早く元気になれ。

(この後義勇さんは私が眠りにつくまで傍に居てくれた)
義勇さん、ですか?