全身が重く、瞼すら開くのを躊躇してしまう。
薄ら開いた先に広がる無色にいよいよ天命尽きてしまったと、我ながら淡白に考える。
次に体のどこか、一部でも動かしてみようと試みる。
ほんの僅かに動いた左手に走る暖かな感覚。────これは何だろう?
まるでお天道様の下に居る時みたいな、全てを許容し、包みこむ暖かさ。
コポコポと水中で空気が弾け、割れるような音が耳に入ってきた。
呼吸を繰り返す口、喉、肺がひりひり痛い。
──こんな所で死んでいい人間ではない。癖の強い髪と耳飾りが風に乗ってふわりと揺れる。
その人が振り向くと同時に幾らか倦怠感が消え、気合いで
目を開いた。