本当に大丈夫なのか?

(炭治郎の顔を見ていたら落ち着いてきたし、大丈夫だよ)

両腕に伝わった肉や筋肉を断つ感覚と、その場に崩れ落ちた炭治郎から広がる血溜まりの濃い匂い。
掠れ声で理由を問う炭治郎から徐々に失われていく熱────。
瞼の裏に浮かぶ嫌な光景を拭い去って、笑顔を作る。

(眠る前に少しだけ体を動かしてこようかな。またね、炭治郎)

──くたくたになるまで体を動かし、思考力を落としてしまえば余計な事を考えずに済む。
足早に姿を消した〇〇の手を掴もうと伸ばした手は空を切り、眉を八の字に寄せた炭治郎が佇む事になった。
空を切る