背中を伝う汗の不快さで今見ていたものは夢だったのだと安堵する。
バクバク煩い左胸を抑えながら脳裏にこびりついてしまった悪夢を振り払い、再び布団に横になる……も、あの続きを見てしまうのではと思うと眠りたくないと思ってしまう。

(炭治郎、起きてるかな)

もしかしたら私の匂いで目を覚ましてしまうかもしれないし、遠巻きに見て明かりの有無で判断しよう。

痛い程の静寂に包まれている屋敷の中で、床の軋む音だけが響いている。

眠りたくない