今日は〇〇の機嫌がいつもに増して悪かったので、何となく嫌な予感はしていたが出来るなら的中してほしくなかったと嘆息する。
そもそも義勇さんが──。
〇〇が義勇を好いているのも、そのまた逆も然りなのも双方の鴉共に知っているので彼女の言葉に肯定する姿勢を徹底する。
あれよあれよと減っていく酒と、次第に覚束無くなっていく足取り。
〇〇の口から漂う濃い酒の香りと徳利の数にいよいよ、彼に知らせねばと飼い主が席を外したのを見計らい部屋を後にした。
到着した屋敷の前でカア、と鳴けば凡その事は察している〇〇の想い主──水柱が姿を見せ労わってくれる。
背中を向けた水柱は致し方ないと思いながら、〇〇を介抱しに行ったのだろう。
二日酔いで頭を抱えている御主人に好物を強請り、貰わねば気が済まない。
どこからともなく飛来した先輩鴉に申シ訳ナイ。と頭を下げると、穏やかな顔をして枝に留まろうする。
若年鴉の傍に腰を落ち着けた年配鴉は義勇が〇〇を抱え運ぶのを見届け、一鳴きした。
痴話喧嘩は鴉も食わぬ