おはようございます。目を覚まされたんですね。
気分の方はどうですか?


(……さいあく……です)

声を掛けてくれた女性に大丈夫だと手を挙げようと試みて、全身どこにも力が入らない事に気付く。
やっとの思いで紡いだ声も嗄れて聞くに耐えないものだ。

先程まで竈門君という男の子がお見舞いに来てましたよ。
那田蜘蛛山ではお疲れ様でした。


誰一人助けられなかった。
あの時選択を誤らなければ、彼らはもしかすると──。

もし自分が居ない時に貴女が……〇〇さんが目覚めたら伝えて欲しい言葉があると預かっています。
自分を責めないでくれ。
また後程、様子を見に来ますね。


頭を下げて部屋を後にした女性の背中を呆然と見送る。
窓から差し込む光が涙腺を刺激して、ツンと鼻の奥が痛くなった。

……次こそは、守り抜く。
流れる雫と共に、心に誓いを立てて。
生きてこそ