(もう長いこと炭治郎の声を聞いていない……それだけ先の戦闘は過酷だったという事なのだろう。
いつものように炭治郎が居る部屋に踏み入れた時、赫灼の髪が揺れ……ん?)

〇〇!

(ベッドに横たわる炭治郎を見る度に心の臓が凍てついた感覚に陥る。
状態がいつどう転ぶだなんて誰にも分からない。だからこそこうして目覚めるまでがもどかしく恐ろしいのだ)

……〇〇?

(私を置いて、死なないで)

我儘甚だしい一言に嫌な顔ひとつせず、炭治郎は頭を撫でながらごめんな、と笑った。
死なないで