(ごめんなさい。私が弱いばっかりに最期まで迷惑を掛けて)
外貌は変わり、人を喰らえど〇〇の根底は変わっていない。
彼女は自分の為に炭治郎が探し回っていた事を恐らく知っていたのだろう。
首を差し出し、何度も謝る〇〇に胸が締め付けられる。
なんて哀しい終わり方だろう。
自分はこの気持ちを抱いて、一人生きていかなければならない。
──伍ノ型・干天の慈雨。
頸を切られた〇〇はもう間もなく、何の痕跡も残せずに消えてしまうだろう。
肉体の崩壊が始まった彼女は泣くのを止めて炭治郎に向き直ると目を細めた。
(炭治郎に頸を斬ってもらえて良かった。ありがとう)
〇〇が人を喰う前に、罪悪感から死を望むようになる前に発見出来ていたらこうならずに済んだのかもしれない。
ばいばい。といつもの言葉を告げて霧散した想い人の手を掴もうとして空を切る手に、ぽろぽろと涙が零れた。
日輪刀を抜き払う