項垂れたままの義勇さんに平謝りしか出来ない……。
人混みに呑まれ、はぐれてしまった私は少し外れた場所で留まっていた。

暫くして人垣をかき分けてこちらにやってきた義勇さんは珍しく息を切らしていて、自分でも探しに行けば良かったと更に謝罪する。

賢明な判断だ。
次ははぐれないよう、どこか掴まっていろ。


(じゃ、じゃあ手を繋いでいても良いですか?)

人混みから抜けたら必ず離せ。

差し出された手を掴み、指を絡める。
先を進む義勇さんの足取りはいつになく早くて照れているのかな?と思ってみたりしたが、義勇さんに限ってそれはないかと己の考えを振り払った。
恋人繋ぎ