まだ人の姿と理性を保っているのか。

まさかここまで自我を持って、抗うとは俺も思っておらず……。

手を離せば今すぐにでも無惨へ飛び掛っていきそうな〇〇の腕を引いている童磨は言葉でこそ、困った風ではあるが内心は現状を楽しんでいた。


無惨の血を取り込み、数日空気を割くような悲鳴を発していた〇〇が落ち着いたのは昨日の夜更け。
見えた鋭利な歯や、猫のように縦筋の入った瞳孔を見るに間違いなく彼女は鬼となっている。
事実、今日の昼間などは陽の光が当たらないよう部屋の隅で体を縮こまらせていたし童磨によって今まで与えられていた傷も全て跡形なく完治していた。

しかし童磨に対する頑なな態度や、鬼殺隊の一人として鬼舞辻無惨を殺してやるという思考に変化は見られず呪いの影響下にもないようだ。

その娘の手網はしっかり握っておけ。
それと"食事"も忘れるな。


無惨を前にふうふう息を荒らげ、涎を滴らせている〇〇を睥睨する無惨に頭を下げた童磨と共に部屋へ戻る。
帰りも行きと同様暴れる事は予測していたので、死なない範疇で毒によって弱らせ部屋の中に放りこんだ。

強制鬼化2