屈託のない笑顔を浮かべ、〇〇は今日も俺の前に現れた。
こんにちは!と頭を下げた彼女にどうしたと要件を問えば少しだけお時間下さいと羽織の端を掴まれる。
(確かこの辺りに……義勇さんここ、これ見て下さい!!)
いつも以上にはしゃぐ〇〇の側でしゃがみこみ、指さす先を見つめる。
……一つだけ、葉が四枚あるシロツメクサがそこに座していた。
(四枚葉があるシロツメクサを見つけると、幸運になれると前に聞いたので義勇さんにもお裾分けです)
──だからか、ものぐさな自分がそのシロツメクサの意味を知っていたのは。
少し前から〇〇がやれ四つ葉だのシロツメクサだの煩かったので、その理由を胡蝶に尋ねた事があった。
(希望、信仰、愛。残る一枚は……幸福)
少なからず好意を抱いている女から気にかけられ、幸せのお裾分けなどと言われた義勇は煩くて仕方ない左胸を隊服の上から抑えつけた。
彼女────〇〇がシロツメクサ一枚一枚に込められた意味を、知っていなかったとしても。
四つ葉を見つける