私の身を案じてそう口にしてくれているのは、痛いほど分かった。
──澄んだ蒼の瞳を持つこの人なら、理解してくれるかもしれない。
少しくらい甘えても良いのではないかと、私の中の何かがぐらつき始める。
(…………ごめんなさい、義勇さん)
交わっていた視線を先に外したのは私だった。
このままでは少し甘えるどころではなく、縋り付いてしまうかもしれない。
義勇さんにそんなみっともない姿を、弱い一面を見せたくないという見栄がここになって初めて頭をもたげた。
何とか吐き出した声は弱々しく、少し感情が乗っていたかもしれない。
半半羽織が揺れ、彼が私に背中を向けていくのを唇を噛んで見守る。
……最終手段を取る他ないか。
突如、頭上から振ってきた羽織にあたふたしている間に背中に腕を回される。
額を義勇さんの胸に押し当てるような体勢になり、硬直している私の体をゆっくり離した。
こうすると幾分か精神的疲労が軽くなると、胡蝶から聞いた。
無理だけはしてくれるな。それは〇〇に預けておく。
今度こそ遠くなっていく滅が刻まれた背中に鼻の奥がツンと痛くなった。
喉元まで出かかった言葉を飲み込む