手を挙げて炭治郎に声を掛けようとした時、彼の目の前に女の子を立っているのに気付きさっと木の影に姿を隠す。
いつの間にか竈門君の事を目で追うようになってて……す、好きです!何と間の悪い……それに炭治郎がどう応えるのか聞きたくないし、どうしよう。
しかしながら少しでも動けば二人に私の存在がバレてしまう。
ありがとう。君からの好意はとっても嬉しいよ。
だけど君が俺に特別な好意を寄せていてくれているように、俺にも特別な子がもう居るんだ。
だから……ごめん。君が俺以上に素敵な人と出会えて幸せになれるよう願ってる。断られたにも関わらず、女の子はどこか吹っ切れた顔をしている。
こちらこそいきなり呼び出してごめんなさい。
……ありがとう。女の子が立ち去り、炭治郎も移動するだろうと胸を撫で下ろしていると肩を誰かに叩かれた。
居たのなら声を掛けてくれたら良いのに。いつの間に側まで来ていたのだろう。
ちょっと頬を膨らませている炭治郎になんで!?と問い返すと
匂い。と簡潔且つ分かりやすい言葉が返ってきた。
(一世一代の告白中に声を掛けるなんて、言語道断だし……あ、決して盗み見るつもりはなくてですね?!)
大丈夫、分かってるから。ほら行こう、〇〇。市松模様の羽織から伸ばされた手を握り、肩を並べて戻る。
(炭治郎好きな子居るんでしょ?こんな所見られたら誤解されちゃうんじゃ……)
大丈夫だから、な?一体何が大丈夫なんだろう?
炭治郎がいつになくご機嫌なので言葉は沈め、彼の言葉をを信じる事にした。
すがるように、握られた手に力を込める