頼む、この山を降りて柱を……!!本来であれば鬼に振り下ろされるはずの日輪刀を避けながら、現状を整理する。
自分と同じく原因解明の為、新たに隊員がこの山に入ったというのは道中鴉から聞いた。
きっと"彼ら"もそうなのだろう。
私を貫くはずだった一本の日輪刀は空を切り、もう一本の日輪刀は木の枝を切断した。
それに加えてこの場に居る者は、誰一人として"己の意思"で攻撃してきていない!
動きを鈍くし彼らを傷付ける可能性がある刀は鞘に収め、背を向ける。
──良かった、ついてきている!
あちらの武器を無くしてしまえば大方無力化するはずだ。
一際大きい木の下で足を止めれば、二人の隊士はここぞとばかりに刀を振り回す。
木に刺さった刀を抜こうと必死になっている隊員の手に一撃を見舞って刀を離させ、太い木の枝に隊員を打ち上げる。
錆びたブリキの玩具のように枝の上で悶えている隊士二人の姿に胸を撫で下ろす。
(同士討ちの理由は地面を蠢いていた白い蜘蛛と、彼らに繋がれていた糸に違いない)
同行していた隊員を殺し終えた二人は私を視認するなり涙を流し、
逃げてくれと嘆願しながら斬りかかってきた。
(操られている隊士を助けなくては)
近付いてくる足音に目を細めた。
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