……またか。忘れた頃合いに来るな。

(呆れ顔で私から目を背けた義勇さんに何度も何度も頭を下げる。膝丈が往来の物と違わないのが唯一の救いなのだが、何とも頼りない胸元!!)

いつも早く待ち合わせ場所で待っているお前がギリギリに現れたのだから、何かあったとは思っていたが……よし。

(この羽織は義勇さんにとって大切な物なのは日頃の扱いからよく知っている。急いで掛けられた半半羽織返そうと伸ばした指に、そっと手を重ねられる)

お前だから、預ける。
それでも気になるのであれば一刻も早く任務を終わらせて隊服を取りに行けばいい。


(任務は瞬く間に終わった。着物に着替えろと言われた義勇さんの圧に負けて急いで着替え、差し出された手に隊服を預ける)

奇っ怪な隊服を渡されたら、この男の前で躊躇いなくこうしろ。

(油のかかった隊服に静かに火をつけた義勇と、隊服を作った隠の噎ぶ声、火が爆ぜる音が一帯に響いていた)
前田さん2