(嫌がっている少女を無理矢理何処かへ連れ去ろうとしている人攫い二人を軽く伸す。
まだ怯えている少女の頭を撫で、ひとまず路地裏から出たもののこの子の親は見つけられるだろうか……?)

やっと見つけた。探したんだよ。

おとうさん!

(繋いでいた手をするりと離した少女は男性に駆け寄っていく。
無事送り届けられて良かった筈なのに、この不快感は一体何だ?)


ご迷惑をお掛けしてしまい、申し訳ありません。何かお礼を……。

(結構です。と我ながら冷淡な言葉を残して一秒も早く、人混みに紛れようと足を進めた時助けた女の子が口を開いた)

お姉ちゃんのお名前、知りたい。

(父親の紅梅色の瞳に威圧されながら女の子に名を告げ今度こそ、その場を後にする。
背中越しに名を呼びながら感謝の気持ちを述べる少女の声がずっと聞こえていた)
人攫いと遭遇