やあやあ、お嬢さん。
今宵の月も美しいね。


(全身が粟立ち、吹き出した汗が背中に伝い落ちていく。

音もなく現れた男は被り物を取り、会釈するような素振りを見せた。
笑顔を浮かべ悠然と話し続ける男の気味悪さに耐えきれず、いよいよ日輪刀に手を伸ばす)

女の子ながら鬼殺隊としての役割と果たそうとしているんだね、偉い!
だけどさっきから呼吸も荒いし、体も震えてる。
今すぐ背を向けて逃げ出したい気持ちを抑え込んで、俺と対峙している。
……今も剣先が震えてるのに、気付いているだろう?



(心臓が一際大きく脈打ったのを感じ取ったのを最後に体が地面に吸い付けられた)
不穏な影