いたい、とてもいたい。
瞼を開くと、舟を漕いでいた赤い髪の男の子が飛び跳ねた。
良かった!
半日の間、目を覚まさないから皆心配して……〇〇?〇〇、それは私の名前。
ならばこの子は?私にとってどういうヒトだったっけ。
(──どちら様、でしょうか)
私が目を覚まして、涙を流していた少年が固まる。
視界の端で彼の耳飾りが、ゆらゆら揺れ続けている。
その後、胡蝶さんという女性から説明を受けた。
骨折以外の異常が見受けられないのと、鬼殺隊?に入って以降の記憶がない事から高所から転落した為に脳震盪を起こし一時的に記憶喪失になっているのではないか、と。
こちらは竈門炭治郎君。貴女と特別親しくしていた子です。〇〇が生きていてくれただけで良かった……今は疲れてるだろう?もう少しだけゆっくり眠るといい。瞬く間に寝息を立て始めた〇〇のベッドに備え付けられた椅子に腰を下ろした炭治郎の頬には、一筋の跡。
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