…………風邪か。

蝶屋敷を出た先に居た青年は愛想を微塵も見せず、開口一番にぼそりと零す。
義勇さんも蝶屋敷にご用ですか?と問いかけようとして出たのは乾いた咳だった。

胡蝶にこっぴどく叱られただろう。

(笑顔が大変恐ろしかったです。
ベッドが全て埋まっているので、今から自室に戻って休もうと────)

途端に背を向けた義勇さんに目を瞬かせる。
首だけをこちらを向け目で早くしろと促されているけれど、ええと……?

高熱以外に諸症状が出ているにも関わらず、他者に迷惑を掛けまいと自力で部屋に戻ろうとしている愚か者が居る……そんな話をどこから聞き及んだ。

再度行動を促す義勇さんに頭を下げて背中に体を預ける。

……その顔を見るに食事もまともに取っていないのだろう。
部屋に送り届け次第、粥を持って行く。
ぶつかった相手は?