(夜遅くに失礼します。
先刻猫の耳と尻尾が生えた炭治郎と遭遇……というより出迎えられたのですが、しのぶさんは何かお聞きになられてますか?)
〇〇さんこんばんは。
炭治郎君はちゃんと〇〇さんのお屋敷へ行けたのですね、良かったです。
姿の変貌と知能が見た目相応にまで下がっている理由は当人いわく、倒した血鬼術のようです。(そんな誰得、はた迷惑過ぎる血鬼術が存在するのですか……)
あの姿になってから半日以上経過していますが、知能が低下している以外の変化は見受けられませんし対象の鬼も討伐していますから数日もすれば治ります。(しのぶさんのお力を借りても治らないって……強力な血鬼術なんですね)
あ、いえ。その気になれば炭治郎君は一瞬で治り……。玄関の戸口から聞こえる猫の声と、引っ掻くような音。
眠ったのを確認してから屋敷を出てきたというのに、何て事だ!!
寂しくて匂いを追いかけてきたのでしょうね。
〇〇さんが不在の間、貴女はまだかとずっとそわそわしていましたから。戸を開くと再び張り付いてくる小さな体。
置いていくのはよくないニャンとぐずる炭治郎を宥めている間に、何か大切な事を忘れているような……?
そういう事なので、炭治郎君が元に戻るまでよろしくお願いしますね!私もこの血鬼術を身につけたかった(知能を低下させるとは、なんて恐ろしい血鬼術なんだ…)