……お前の飼い主にも困ったものだな。

寝巻き姿の義勇の元に一羽の鴉が降り立った。
見覚えのある装飾と、バツ悪そうに目を逸らしカアと鳴く鴉の頭を撫でる。

事の次第は全て把握しているので勝手知ったる〇〇の屋敷に上がり込み、私室に入ると酒の匂いが鼻の奥を突き、眉の間に深いシワが寄る。
その真ん中で体を丸めて眠っている〇〇の姿に吐き出しそうになった息を留め、彼女を抱き上げる。

不満があるなら直接言えと、何度言えば分かる。

〇〇が俺の態度に不満を持っていると鴉から聞いた時は驚いたが、どちら付かずな己の態度にも非はあると〇〇の口から直接言ってもらえるのを待っているのだが……。

俺の事をあれこれ言う前に、自身も言葉が足りていないのを自覚しろ。


木の枝にとまり二人を見守っていた鴉達は顔を見つめ、カアと夜闇に鳴いた。
これだから放っておけない