明け方になって帰ってきたのは鎹鴉だけだった。
持たされていた文には変色した血が滲んで殆ど読めない状態であり、既に数人の隊員が鴉の案内を元にそこへ向かったらしい。

〇〇が大怪我を負っている状態でそこから離れるのも気が引けたろうに、偉かったな。

カアと鳴いた鴉が漏らした言葉は行方知れずとなった飼い主、〇〇の名前だった。
いなくなる