窓から差し込む西日に肩を跳ねさせながら陽の当たらない、部屋の隅に後ずさる。

その時視界に入りこんだ手鏡を取って"い"の形を作り、口を横に大きく開く。
鋭利な歯が二本、人間だった時と異なる瞳が鏡に映りこんだ。

……もう鏡を見るのはやめておこう。

△控えめに戸を叩く音がした (3)
△鏡を見る