私達鬼が──無惨様が最も忌むべき存在。
独りでは生きていけない弱者。
気を抜けば掌から零れ落ちていってしまう脆弱な虫ケラの分際で、愛だ絆だ綺麗事を並べる愚かしい者達!!

……人は弱いからこそ、もがいて他者と助け合いながら生きていくんだろう?


もうすっかり忘れてしまった太陽の光のように、暖かくて優しいこの声はだあれ?

思い出したい──いいや今の私には無用なもの。
目の前で揺れる花札のようなそれに、何故だが涙が込み上げてきた。

(無惨様が褒めてくださった。もっと鬼狩りを殺したら、喜んでいただけるかな…?)