(そう私が呟くと、師範はまたため息をついた。)
(あぁ、呆れられたかな。はしたないって思われたかな。)
(そんな考えがぐるぐると頭を巡った。)
(数秒の、でも私達には長すぎる沈黙の後、師範の手が私の頬に触れる。)
(その感覚にピクリと肩を揺らすと、師範の手は私の頬骨をなぞって顎まできて、顔を軽く持ち上げた。)
(あ、と思うと同時に、師範の顔がゆっくりと近付いてきて。)
(間近で感じる師範の吐息と、長い髪が肌を擽る感覚に思わず目を瞑った。)
(………?)
(数秒たっても何の感触もないことに疑問を感じて目を開けると、師範のおでこが私のおでこにぴたりと重なった。)
……ばか。
本当にするわけないでしょ。
僕と○○は柱と継子であって、恋人じゃ無いんだから。
でも分かった?
これが僕じゃなくて他の男だったら、酷いことされてたんだからね。
………僕以外のやつに、絶対に言っちゃだめだよ。
(そう言うと、師範は身体を起こして部屋を出て行った。)
(一方私は、間近で見た欲情に濡れた師範の目と、間近で感じた師範の吐息の感触がぐるぐると頭の中を巡って。)
(心臓が自分の物ではなくなったようにバクバクと暴れていて。)
(暫く床に寝転んだまま、身動きすらとれなかった。)
教えて、ください…