最近、よく見る夢がある。
夢の中の私は、いつも男の人の隣で笑っているのだ。
場面は縁側だったり街中だったり、昼間だったり夜だったりと様々だけど、夢の中の私はいつも幸せだった。
目が覚めると決まって忘れてしまうけど、男の人もきっと笑い返してくれていたような気がして。
顔も思い出せないのに、優しく頭を撫でられる感触や、指を絡ませる感触が何だか残っているような気がして。
自分でも不思議だけど、顔も覚えてない、夢でしか会えないあの人を、私はずっと前から好きだった気がするのだ。
ずっとずっと、私はあの人に恋をしている。
だから私は、あの人の隣にいる幸せな夢を見て、朝起きて隣を見て落胆する。
あぁ、あの幸せな日々は幻なのだ。夢なのだと、諦めに似た気持ちで一日を始める。
それは、中学校に入学してからも続くはずだったのだけれど。
『それは、もしかしたら前世の記憶かもしれないわよ?』