(背中を向けている師範の耳元に口を寄せ、名前を呼ぶ。)
(驚いたのか、肩がぴくりと軽く上がった。)
確かに名前呼んで、とは言ったけど。
……どこで覚えてくるの、こんなこと。
(小さい声でブツブツ言っている師範を不思議に思い首を傾げると、勢いよく振り向いた師範が私の耳元に口を寄せる。)
……師範を煽るなんて、○○はいけない子だね。
(ひっ……!)
(名前を呼ばれ、耳に息を吹き入れられる。)
(大きく跳ねた私の肩に笑った師範は、ちょっと出るね、と部屋を出ていってしまった。)
(心無しか、少し足早に部屋を後にした師範の耳が赤い気がしたのは、気のせい……?)
え。…む、無一郎さん。(耳元で囁く)