(……はい。全部、思い出しました。)

あの日、師範と共に任務にあたっていたこと。
村の外れの屋敷で、鬼を見つけたこと。
血鬼術が巧みな鬼で、二人でなんとか追い詰めるも相手の血鬼術にかかってしまったこと。
敵の首が落ちたことを確認した後、意識を失ったこと。

一つ一つ思い出すように紡ぐと、それを聞いていた目の前の師範は小さく笑みを零した。


『そっか、そこまで思い出せているんだね。』
『そこまで戻っているなら大丈夫。もう少しで帰れるよ。』

『目の覚まし方、もう気が付いているんでしょ?』


そう言われ、ポロポロと涙が溢れ出す。
直感で気付いたそれは、あまりにも残酷で、




(……私の目の前の師範を、殺すこと、です。)
『そう、思い出したんだね。』