『……ねぇ、この○○って君のこと?』

師範が手にしていた歪な紙飛行機は、紛れもなく昨日私が折ったもので、名前の部分は何度か指でなぞったのか少し掠れてしまっていた。

(そうです、昨日2人で折ったんですよ。)
『ふーん。ねぇ、何か書くもの持ってない?』
(書くものですか?えーっと……)

私が筆を差し出すと、師範は紙飛行機の名前の部分をなぞり書き直す。

『これで消えないかな。何だか、この名前が消えちゃうのは嫌な気がするんだ。』
(……消えてしまったら、また何度でも作りますよ。)


(ねぇ師範、また紙飛行機折りましょうか。)
(いい天気ですし、きっとよく飛びます。)

☆暫くして……