(……こんなに人がいるんだ、)
(中高一貫だから多くの人が通ってて当たり前なのだけれど、実際に中に入ると外から見るよりも広い校内と人の多さに圧倒された。)
(えっと、中学校の校舎はあっちだから……。)
(入学案内を持ってウロウロしていると、通りかかった女の先輩が声をかけてくれた。)
あら、今日入学する子でしょうか。
この先は高校の校舎なので、入学式はあちらですよ。
(あ、ありがとうございます。えっと……)
(話しかけてくれたのは綺麗な菫色の髪の女の人で、制服から高校の先輩だと分かった。)
私は胡蝶しのぶと言います。
今は高校2年生です。
……あなた、○○さんでしょう?
(!? え、と、どこかでお会いしてますか?)
(驚いて問いかけると、しのぶ先輩は少し悲しそうに笑った。)
……ふふ、私も蜜璃さんと仲良くしてもらってるんです。
可愛い子が入学するからよろしくねって話を聞いてまして。
まさか初日から会えるとは思ってませんでしたが……。
困ったことがあったら、いつでも話してくださいね。
私は薬学研究部とフェンシング部を掛け持ちしてるので、気になったらそちらも是非。
(あ、ありがとうございます……。)
……あまり話し込んでると、入学式に遅れちゃいますね。
今度、蜜璃さんも含めてお食事でも行きましょうか。
これから、仲良くしてくれると嬉しいです。
この学校に私の姉と妹もいますので、今度紹介しますね。
(はい、是非ご一緒させてください!)
(……優しい人だったなぁ。蜜璃さんが話してた後輩って、しのぶ先輩のことかな。)
(途中まで案内してくれたしのぶ先輩と分かれて歩いていると、勢いよく腕を引かれた。)
!!