(部屋の外を歩く足音で目が覚めた。)
(ぺたぺたとゆっくりとした足音は、私の部屋の前で止まる。)
(こんな夜中に誰だろう……?)
(体を起こして扉に向かおうとすると、聞き慣れた声が響いた。)
……○○、起きてる?
(! 師範だ!)
(急に襲ってきた後ろめたさと罪悪感で、思わず息を潜める。)
(扉の前の気配は、中に入ってくる様子はなかった。)
……ごめんね。僕が悪かった。
さっき宇髄さんに、女に対する気遣いが足りねぇって怒られちゃったよ。
……僕はさ、言葉が足りなかったりきつかったりする自覚はあったんだ。
人に教えるのも初めてだし、ましてや僕自身も刀を握って何年も経ってるわけじゃない。
人と関わるのが得意というわけでもない。
……○○を探しながら、色々考えてたんだ。
僕が師範でいいのかとか、僕は○○に何かしてあげられてるのかなとか。
僕よりも教えるのが上手な人は山ほど居るし、大切にしてくれる人もきっといる。
その人達の下で学んだ方が、○○にとってはいいんじゃないかって……
(……他の人の所に行くのは嫌です!!)