(しんしんと雪が降ってきた、風がないのは幸いだがそれでも降り積もった雪に足を取られないように慎重に歩く)
(ふと、振り向くと雪の上に一人分の足跡だけが残っていた)
しのぶ:……
●●:どうした?
しのぶ:いえ…なにも、雪が思ったより降って来ましたね。
●●:そうだな、思ったより早く降り始めたな。
(以前ならここで手を繋いでいたはず、でもそうはしない…それは出来ないことだから)
(別に…何が悪いと言うんだ、隣にいるのがなんであろうと、夢だろうと幻だろうと、幻影だろうと幽霊であっても…ただの妄想であったとしても)
(愛しい人が隣にいてくれる、今はそれで充分なんだ)
(過去を振り向くことはしない、前を向いて歩いていくために…隣にいるこの愛しい人が今の自分には必要なんだ)
しのぶ:●●君…
●●:ん?
しのぶ:寒くありませんか
●●:大丈夫…俺は大丈夫だよ。それより先を急ごう、俺達の薬を待ってる人がいる
しのぶ:はい、あなたとなら…どこまでもお供します。
(雪はどこまでも降り続け、足跡を消していった)
足跡2