しのぶ:まったく…何度言えばわかるんですか、この手の本は…
●●:分かってる…ごめん
しのぶ:ふぅ……私室で読む分には構いませんが、病室ではやめてください。アオイ達ならまだしも小さい子たちもいるんですから
●●:ごめん
しのぶ:分かったのなら構いません…ところで、これ先日没収した本とその続編ですよね?
●●:そうだよ、新刊が出たから前作から読み返してたの
しのぶ:そうですか…
●●:……それも、没収していいよ。もう読み終わったし
しのぶ:言っておきますが…そういう目的で読むんじゃありませんからね、貴方の言葉を借りるなら文学として…単純に物語が面白くて続きが気になっただけです。
●●:分かってる、世間様じゃ破廉恥だの言われてるけど、実際に読んでみたらその手の場面は少ないし、むしろ純愛ってか、愛情深い話で…うん、なんか胸が絞められる感じで…
しのぶ:●●君って…意外と乙女ですね
●●:だ、誰が!
しのぶ:ふふっ、まぁ何はともあれ、これお借りしますね。
●●:読む時間ある?
しのぶ:えぇ、今回の任務は遠方なので道中汽車の中で読ませていただきます。
●●:そっか…蜜璃さんとだっけ?柱二人なら心配ないと思うけど……気をつけてな
しのぶ:貴方こそちゃんと療養してください。
●●:わかってる、ついでに俺以外の聞かん坊たちの面倒も見とくよ。
しのぶ:ちゃんとお願いしますね、年長さんなんですから
●●:はいはい……しのぶ
(頬に手を添えながら)
●●:『この恋が、この愛が夢や幻だったとして…君はどうする』
しのぶ:……『たとえ、この恋が夢幻だったとしても、私の思いは変わらないわ、だって…この青空よりも大きなこの気持ちは変わり様がないんだもの』
●●君…私達にこの小説のような恋愛は似合いませんよ。
●●:…そうだな、でも…
(優しく唇を重ねる)
●●:今は無理でも…いつかもっと素敵な恋をしよう
しのぶ:……もう、してるかもしれませんよ
●●:ん?
しのぶ:なんでもありません……そろそろ行きますね、あまり遅くなっては汽車に乗り遅れてしまいます。
●●:そうだな…しのぶ、いってらっしゃい。
しのぶ:はい、いってきます。●●君
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