(任務の帰り道、今日が誕生日だという事を思い出した)
(だからなんだという話ではある…)
(誕生日だから何か特別な事があるわけではない、これがしのぶやカナヲ達の誕生日なら心から祝っていたが、どうも自分のとなるとどうでもよく感じる)
(そんなことを考えているうちに蝶屋敷に帰ってきた)
●●:ただいま
アオイ:お疲れ様です。ご無事で何よりです。ちょうど食事の支度が出来てますからみんなで食べましょう
(食卓には普段より多くの料理が並んでいた)
●●:今日は…随分豪勢なんだな。
アオイ:はぁ…まさかとは思いますがご自身の誕生日をお忘れですか?
なほ・きよ・すみ:●●さん誕生日おめでとうございます
●●:…みんなが作ってくれたのか
アオイ:そうですよ、貴方の好物をみんなで作ったんです。
●●:そうか(だから、最近やたら好物は何か聞いてきたのか…)
ありがとう、みんな…
あっと…そのえーと…そういえばしのぶは?
アオイ:しのぶ様カナヲももうすぐ帰ってくると思います。
●●:そうか、どうせなら二人を待とう。いいかな?
アオイ:私は構いませんが…
なほ・きよ・すみ:私たちも大丈夫です。
●●:ありがとう……俺はちょっと着替えてくる
なほ:なんだか、●●さん様子が変じゃありませんでした?
アオイ:強がってるんでしょ(しのぶ様以外に弱みを見せたがらない人ですから)
(あのままだと恥ずかしい顔を見られるところだった、鼻の奥がツンとして、胸が締められるような感じがした)
(今も目頭が少し熱い…)
(さっきまでどうでも言いなんて思っておきながらいざ祝われるとこんなに嬉しいのか…我ながら現金だな)
(ツンツンっと背中を突かれた)
●●:んっ…
しのぶ:なにしてるんですか、泣き虫さん
●●:泣いて…ない、それに人の部屋に勝手に入らないで欲しい
しのぶ:ちゃんと声をかけましたよ?
●●:……
しのぶ:まぁまぁ、それよりも早く行きましょう。みんな待ってますよ。
●●:ああ
しのぶ:っと、その前に
(しのぶはハンカチを取り出すと顔を拭いてきた、いつのまにか本当に涙が出ていたみたいだ)
●●:本当に泣き虫だな、俺は
しのぶ:そうですね、でも嬉し涙なんですから悪いことではないと思います、それだけ嬉しかったんでしょ?
●●:…たぶん、いや…うん。嬉しかった。誰かが俺の生まれた日を知っててくれて、祝ってくれる。こんなに嬉しい事だとは思わなかった。
しのぶ:それが分かっているのならちゃんとみんなにお礼を言ってあげてください。
●●:うん…
しのぶ:私も…貴方に
誕生日を祝われたときはとても嬉しかった。
…●●君、抜け駆けしちゃいますけど…お誕生日おめでとうございます。
産まれてきてくれてありがとう、私と生きてくれてありがとう。