善逸:急げ!早く早く!
伊之助:分かってる!
炭治郎:●●さん!頑張ってください!もう少しで藤の花の家紋の家につきます!
(やられた…手酷くやられてしまった…それでもこいつらが無事だった、それで上出来だ)
(体の感覚がなくなってきた…もう、無理か)
●●:伊之助…悪いが下ろしてくれ
伊之助:はぁ?!なに言ってんだ!こんなところで何する気だ!
炭治郎:そうですよ、諦めないでください!
●●:…頼む
(伊之助に降ろされ、木によりかけてもらった…チラリと腹に巻かれたさらしを見た、こいつら必死に手当てしてくれたんだな…傷の深さからして大した意味はないが……なぜか微笑ましく感じてしまった、必死に手当てしてくれたんだな)
●●:雑な手当てだ、帰ったらしのぶから応急措置の仕方を習うといい…この傷じゃそもそも俺は無理だったが、手当ての仕方を知っているか知らないかじゃ助けられる仲間もいる
善逸:そんなの…あんたが教えてくれればいいでしょ!みんなで帰ろうって言ってたじゃないですか!
●●:…俺がか、俺は誰かに何かを教えるのは苦手だ…けど、そうだな……伊之助、お前は頭は悪くないんだ、ちゃんと読み書きできるようになって色々なことを学べ…面倒かもしれないが知識は必ず役にたつ…俺の部屋にある本好きなだけやるよ
伊之助:おう…分かった
●●:炭治郎…お前は…お前ならきっと禰豆子ちゃんを人間に戻せる、きっと無惨を倒すことが出来る。頑張れ…でも、無理はし過ぎるな。自分一人じゃダメだと感じたら仲間を頼れ…きっとみんながお前を支えてくれるはずだ
炭治郎:●●さん…はい、俺絶対に成し遂げてみます!
●●:善逸…お前は情けない奴だいつもピーピー泣いてお前みたいな情けない隊士は初めて見た、いや…お前で二人目だな、こんな泣き虫は…
善逸:●●さん…
●●:でも、お前は優しくて人のことを大切にすることが出来る奴だ…泣き虫だからこそ人の痛みが誰よりも分かる人間だ…
泣いてる人がいたら助けてやれ、なるんだろ誰からも頼られる人に…お前ならなれるさ
あと…そうだな、アオイやカナヲ達には情けない兄でごめんって謝っといてくれ
炭治郎:…しのぶさんにはなんて伝えますか
●●:特に…ないな
善逸:えっ…
●●:…多すぎてさ、全然選べない…それに下手なこと言うと泣かしちゃうかもしれないだろ…今までにもたくさん泣かせてきたから…最後位泣いて欲しくないなって…
(おもむろに●●をおぶる善逸)
●●:あっ…おい、なにを…
善逸:連れて帰るんだよ、絶対に…簡単にあきらめるなよ、あんたらしくない!
●●:やめろ、もう俺は助からん…せめて潔く死なせてくれ…
善逸:こっちは全部聞こえてるんだよ、あんたがいまどれだけ苦しいのか悲しいのか怖いのか、全部聞こえてるんだよ!
死にたくないって思ってるんだろ!しのぶさんに会いたいって思ってるんだろ!だったら最後まであがけよ!
炭治郎:●●さん、善逸の言う通りです。せめて…せめて最後にしのぶさんに会うまで頑張ってください
●●:…死ぬのはやだな…死にたくない、生きて…しのぶと生きたい。最後にしのぶに会いたい…会いたいな
(●●の瞳からポロポロと涙が溢れた)
(三人は走って走って、走り続け蝶屋敷が微かに見える場所まで辿り着いた)
伊之助:おい!もう見えてきてぞ!
善逸:●●さん、あと少しです、あと少しですで…
●●:……善逸………あり……が…
善逸:えっ…
(立ち止まる善逸と炭治郎)
伊之助:なに止まってんだよ!あと少しじゃねーか!!
善逸:…●●さん……死んだ
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