●●が死んでから一月ほど経ったか
当初は鬼との戦いで死んだと言われていたが実際は違う
あいつは自害した
自分で頸を斬り落として……なぜそんなことをした?
やっと柱になれそうだと、そう息巻いていたのに…
鬼にされたのならばわかる…だがあいつは鬼にはなっていなかった
遺体を見つけた隠の報告によれば首にはいくつもの躊躇い傷があり瞳に涙の痕が見て取れたらしい…
泣きながら、死ぬことを拒絶しながらも自らの頸を斬り落としたのだ
あいつが自害などする理由はあるとすれば…血鬼術で体を操られたか…自らが鬼になったと思いこまされた…そう考えられている。
●●が死んでからしばらくの間、胡蝶はかなり憔悴していた…●●の後を追うのではないかと心配する者もいたが、あまりの憔悴ぶりに下賤な噂も流れた、●●との子が…下らない
下らぬ噂に過ぎない、でなければあまりに救いのない話だ
…それでも今の胡蝶は
しのぶ:さっきからぼーっとしてどうしたんですか?人の話聞いていますか?
義勇:心配するな…ちゃんと聞いてる
しのぶ:任務の最中だというのにたるんでますよ、私は早く鬼を殺しに行きたいんですから
義勇:鬼と……仲良くするんじゃなかったのか
しのぶ:……冗談か嫌味で言っていますか?出来るわけないじゃないですか、今更仲良くなんて…姉さんには悪いと思ってます、でも…もう無理なんです、出来ないんですよそんなこと…
●●君の亡骸を見た時から…あんな惨たらしい死に方…
許せない…絶対に許せない。
禰豆子さんのように人を喰わない鬼であれば話は別ですが…そんな鬼、普通いないんですよ。
私は鬼が嫌いです、ずっとずっと嫌いでした、憎くてたまらなかった…それでも思いとどまれたのは姉の言葉と●●君の存在があったからなんです。
でも…もう、●●君はいない……鬼は私から大切な人をみんな奪っていく…
だからもう決めたんです、私は鬼を殺すことに容赦しません、今まで以上にたくさんの鬼を殺したいんです、そうすればいつかきっと二人の仇に出会えるはずですから
そして…私が二人の仇を必ず取るんです♪
義勇:(なんて笑顔をしている…柄にもなく背筋に冷たいものが走った…●●、お前がこれを見なくてよかった、お前が好きだと言っていてた、お前がもう一度見たいと言っていた胡蝶の笑顔は…お前と共に本当に死んでしまった)
死んだ笑顔