しのぶ:…またですか、毎度毎度この鬼はいったい何を考えているのでしょう、しかし今回はずいぶん簡単な内容ですね。
お互いに10回好きと言い合うだけ、合うという字が間違っていますが…とにかくさっさと始めましょう
おそらくそこに立っている10本の蠟燭が目印なんでしょう
しのぶ:では、●●君、好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き
●●:好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き
しのぶ:……何も起きませんね。いつもならすぐに出られるのに…蝋燭にも変化なし、どういうことでしょう
●●:もしかして、誤字じゃないのかもしれない。言い愛というのは愛し合いながらという意味なのかもしれない
しのぶ:そんな馬鹿かな……と、言いたいところですが可能性はなくはないですね。では…口づけしながらしてみましょう
(試してみるだけだからそこまで必要なかったのに思わず深く口付けしてしまった)
しのぶ:んっ……●●君、好き
●●:俺も好き
しのぶ:どう…でしょうか
●●:わからない…けど、とりあえず蝋燭が2本消えている、このまま続けよう。
しのぶ:…そうです
(こうなることは分かっていた、口づけを繰り返すたびにより深くより長くなっていった)
(好き、そう言い合うだけなのに…それだけじゃ足りなくなっていった)
しのぶ:●●君…ちゃんと言わないと、いつまでたっても出ることができませんよ?まぁいいです、それぞれ10回ではなく私だけが10回言ってもいいみたいですからね、私があと2回言えばそれでおわりです。
●●君…すk、むぐっ
(しのぶが言うよりも先に唇をふさいだ)
しのぶ:なにを考えているんですか…早く出たくないんですか
●●:ごめん……出たくないわけじゃない、でも…もう少し、一緒にいたい
しのぶ:●●君………わかりました、ではもう少しだけ…好き
●●:あっ…
(今ので蝋燭は1本だけになった)
しのぶ:●●君、あいにくですが私は鬼の遊びに付き合うつもりはありません。さっさとこれを終わらせて外に出たいんです。
それにですね…誰かが見ている前でするのは嫌です。なによりも一番許せないのはこの言葉を強要させられることです。
私は…本当に貴方のことを想っているときにだけ使いたいんです、貴方に私の想いを伝える大切な言葉だから、こんな形で何度も言い合うのは嫌なんです。
●●:しのぶ……ごめん、確かにしのぶの言うとおりだ。俺が浅はかだった。
しのぶ:いいんです、貴方の気持ちは分かっているから…だから、最後は貴方が言ってください、貴方の気持ちをちゃんと私に伝えてください
●●:しのぶ…好きだ、誰よりも何よりも、好きだよ。
(その言葉を言い終えると最後の蝋燭は消え、気が付くと二人は元居た山道に立っていた)
しのぶ:どうやら、戻ることができたみたいですね。結局また鬼には逃げられましたね。本当に何が目的なんでしょう…?
●●:鬼の考えていることなんてわからん…ただ、分かることは…しのぶ、俺はしのぶのことが好きだ
しのぶ:さっき散々言い合ったのにまだ言い足りないんですか?
●●:ちゃんと自分の言葉で言いたくなった、から
しのぶ:なら、私もちゃんと答えないとだめですね、●●君…私も好きですよ、貴方のことが誰よりも何よりも
好きって10回言い愛しないと出られない部屋に閉じ込められる