眠っている彼を顔を見つめながら自分の唇に指を当てた。
まだ彼の唇の感触が残っている気がした…彼と口付けをするのは久しぶりだった。
こんな形で再び触れ合うことになるとは思っていなかった、もしかしたら一生することはないとさえ思っていた。
ずっと我慢していた、彼にも我慢させていた……今となっては意味はないのかもしれない。
私と彼はもう同じだから…
毒のことを彼に悟られたくなくて…繋がることで彼の身体になにか影響が出てはいけないからと離れていた。
でも、彼は私と同じになってしまった…私の身体のことをきちんと彼に話していればこんなことにはならなかったのかもしれない、彼にも私と同じ物を背負わせることにはならなかったのかもしれない。
私は彼に甘えてばかりだ…彼が優しいから、いつも甘えてしまう。
彼は私のすることを咎めたりしない…毒のことだって本当はもっと二人で話し合うべきだったのかもしれない
今更か…
また唇を撫でるが、もう彼の唇の感触は残っていない…
彼の寝顔を見つめる…子供のような、無防備で穏やかな寝顔
(ちゅっ)
本当に無防備なんだから…油断しすぎ、だからこんなに簡単に唇を奪われるんだよ?
色々とゴチャゴチャ考えていたが、要するにこれだ…同じになったんだから、もうお互い何をしているのか知っているんだから……もう我慢しなくていいよね?
いきなり全部昔みたいに許したらきっと彼も驚いてしまうから、少しずつ少しずつ……
やっぱり私には貴方が居ないと駄目だから
貴方が傍にいてくれるだけで私は頑張れる
貴方とお話をしている時、私は素直になれる。
貴方の腕の中にいる時、私は幸福を感じられる。
だから…だからね、●●……また貴方に甘えちゃうけど……少しくらいいいよね?
唇の感触