●●:ハァハァ…悪い、ちょっと休憩…やっぱ荷物持ち過ぎたかな
しのぶ:無理しないでください、あそこに木陰がありますから、遠慮せず休んでください
しのぶ:(私達の家から蝶屋敷までは大人の脚で30分ほどだが、今の●●君では1時間以上かかってしまう、こんなことならもう少し近い家にすればよかったと反省する)
●●:…ふぅ、もう大丈夫。しのぶは大丈夫?喉とか乾いてないか
しのぶ:私は大丈夫です、あなたに背負って貰っているのに甘えたことなんて言えません。
●●:よし、じゃあ行こうか
●●:あっ…ああいうの良いよな
しのぶ:えっ…
(彼の視線の先に一組の男女が歩いているのが見えた、仲睦まじく手を繋いでいた)
(羨ましい…そう思った、私にはもう出来ないこと…彼と手を繋ぐことはもう出来ない)
(●●君と手を繋ぐのは好きだった、手を繋ぎ指を絡める、それだけで彼を感じられた)
しのぶ:ご夫婦でしょうか、羨ましいですね…こんなことになる位なら、私達ももっと手を繋いでいればよかったですね。
●●:えっ…ああ、違う違うあっちだよ。ほら、乳母車の
しのぶ:あ…親子みたいですね、家族連れで……なるほど、確かに乳母車を使えば私を運ぶ負担が減りますね
●●:なに言ってんの…?家族っていいなってそう思ったんだけど……流石にしのぶを乳母車に乗せたりなんてしないよ。こんなおんぶ紐で縛られるのが嫌だって言うなら話は別だけど…
しのぶ:そ、それならそうと言ってください、余計なこと考えちゃったじゃないですか…私は別にこれが嫌だなんて思ったことありません…ただ、あなたの負担になりたくないだけです。
●●:負担なんかにはならないよ。俺は…まぁなんだかんだ言ってしのぶをおんぶするの好きだよ、この方がしのぶの重さとか大切さとか温かさとか…あと胸の感触とか感じられるし
しのぶ:最後のは余計なのでは?
●●:むしろ一番重要だと思うんだけど
しのぶ:●●君!
(左腕で●●の頸をぎゅっとする)
●●:じょーだんだって…でも、本当にしのぶをおんぶするの嫌いじゃないから、遠慮なんてしなくていいから
しのぶ:そうですか…では、お言葉に甘えます
(私もあなたにおぶられるのは嫌いじゃありません…でも、私はまたあなたと手を繋いであなたの隣を…)
乳母車