カナヲ:…●●さん、そろそろ休んでください。
●●:うん、もう少しだけしたら休むよ。
何度も壁を切りつけているうちに●●さんの手は裂け血が滴っていた、少しづづ壁は削れているが終わりはとても見えない
カナヲ:あの…さっきの紙に書かれていたことですが…私は構いません…
●●:見えてたのか……だが鬼の言葉を信用できるか?
カナヲ:信じるわけではありませんが、今のままでは●●さんが……ほかに可能性もありませんし、試してみる価値はあるかと
●●:俺は大丈夫だよ。
カナヲ:……今回は非常時ですし、誰にも…師範にも何も言いません、鬼を倒した後は今日のことは忘れます。
●●:はぁ…妹に心配されるようじゃ兄貴失格だな、俺は本当に大丈夫だ。それに嫁入り前の大切な妹を傷物にする訳にはいかない、どんな理由であってもな
カナヲ:しかし…
●●:…そんなに心配するな、ちゃんと休むから。すまないが少しの間見張りを頼む、大丈夫だと思うが念のために
そう言うと●●さんは壁に寄りかかり眠りについた。
●●さんが寝付いてすぐ後、いつの間にか自分のポケットに一枚の紙が入っていることに気が付いた、さっきの紙によく似ているが文面は違った。
『男に口づけしろ、そうすれば解放する』
これなら…私でも……
眠っている●●さんの顔…唇を見つめる。
これは私が触れていいものじゃない、これは師範の…それは分かっている、けど二人が無事に外に出る為…
たった一度、私の生涯で一度だけの行為。ゆっくりと●●さんの唇に自分の唇を近づける。
ごめんなさい、●●さん…
唇同士が触れる寸前に●●さんの目がはっと開いた。
●●:カナヲ?!なにを…
お互いにとっさのことに動揺したせいか、私の唇は●●さんの頬に当たった。
すると突然、部屋が大きく揺れ始め気が付くと元いた森の中に投げ出された。
●●:…どうやら、外に出ることが出来てみたいだがどうなってるんだ?
カナヲ:多分ですが、この紙を見てください
●●:なるほど、口付けか…頬でもいいとは条件の緩いことだ
カナヲ:こんな簡単なことで出られたんですね。
●●:そうだな…相変わらず鬼の考えることはよく分からん、近くに鬼の気配もないし逃げたみたいだな。念のために当たりを捜索したら腹も減ったし飯でも食いに行くか
カナヲ:その前に手当てをしないといけません。
●●:つばでも付けときゃ治るさ。
カナヲ:駄目です、きちんと手当をしないと後遺症でも残ったら大変です。
●●:なんだかしのぶに似てきたなぁ……じゃあ、手当て頼めるか?
カナヲ:はい…
結局二人であたりを見回ったが鬼は出てこなかった。
その後私達の関係は変わるはずもなく、私にとって●●さんは大切な兄であり、私は●●さんにとって妹であり続けている。
もう一つの条件